こころの案内人のブログ

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40代は「おとなの思春期」!? ~ゲイもノンケも惑う中年の危機~

 40代といえば働きざかり。職場では重要なポジションに就き、大きな仕事や部下の育成を任されている方も多いでしょう。でも、「あれっ?今までの自分と何か違うぞ?」と違和感を覚えることはありませんか。ゲイの方でしたら、容貌や体力の変化が予想以上に気になりませんか?40代、それは「おとなの思春期」とも言える時期なのです。

40代のこころの中

 さまざまな経済の浮き沈みを乗り越えてきた40代は、働きざかりの年代。仕事人として脂がのり逞しい印象すらしますが、実は精神的に不安定な時期でもあるのです。そんな40代のこころの中を覗いてみましょう。

1.もはや上昇中の人生ではないという感覚

 心理学者のユングは、人の一生を一日の太陽の軌道になぞらえ、40代を「人生の正午」と名づけました。午前は太陽のように自分自身が上昇していく時期ですが、正午に頂点に達すると下降に転じます。この転換期が人生最大の危機となるだろうとユングは考えました。

 この「人生の正午」は、突然に訪れます。事前に知ることはできません。午前の上昇中には、人は「人生はまだまだこれからだ」と無限の可能性を感じます。ところが、ある時陰りを感じるのです。それは、いろいろなことがきっかけになります。例えば、身体的な衰えを感じたとき、仕事に対して頑張りが効かなくなったとき、以前のような情熱や喜びを感じられなくなったときなどです。
 陰りを感じ始めると、以前とは違う自分に愕然としてしまうこともあります。もはや、自分の人生は上昇中ではないのだということに気づいてしまうのです。

2.今までのゲイライフの行き詰まり

 

 ゲイにとって容貌や体力の変化(ほとんどが衰え)に対する不安は、ノンケ(異性愛者の男性)の比ではありません。昨今の若いゲイたちは分かりませんが、40代以上のゲイが過ごした2,30代のゲイライフは、恋愛や性愛が中心であったのではないでしょうか。そうなると、やはり見た目は大事。ジムに通って筋肉を付けたり、日焼けをしたり、お高めのコスメを使ったり、どちらかと言うと外側を磨くことに時間と労力を割いてきた方も多いのではないかと思います。
 しかし、40代も中盤を過ぎアラフィフの域に達すると、それらのメンテナンスが思ったほど効果を現さなくなってきます。その現実に愕然とした時、ゲイライフ(私生活)の転換をはからなければならないと感じるゲイも少なくないのではないでしょうか。さらに、同僚のノンケが家庭やお子さんを持つ姿を見る時、間もなく迎える人生の後半戦をどのように生きていけばよいのか、迷いが生じる時期と言えます。

3.中年期の危機

 40代を「人生の正午」と名付けたユングは、午前から午後への転換期が人生最大の危機になるとし、「中年期の危機」と呼びました。人は、上昇中の午前と同じような生き方を午後に入るとできなくなり、生き方や価値観の転換をはからなければならないことを意味しています。

 生き方や価値観の転換とは、今までの人生を否定し、全く違う生き方や価値観を持つということではありません。これまで歩んできた生き方を見つめ直し、その人生をさらに成熟させるにはどうしていくべきかという視点が必要です。ここを勘違いし、今までの人生を白紙に戻すような行動に出ると、人生が狂ってしまう恐れもあります。

 

おとなの思春期をどう乗り越えるか

 10代の思春期には、心身の変化に加え、環境や交友関係の変化に戸惑いを覚えます。自分自身をコントロールできなくなったり、変化する自分を受け容れることができずに不安や混乱に襲われることもあります。これらは40代の転換期にも当てはまり、中年期の危機は「思春期のおとな版」といえます。このおとなの思春期をどのように乗り越えていけばよいのでしょうか。

1.自分の限界に向きあってみる

 「もはや、自分の人生は上昇中ではない」と気づくということは、自分の限界に直面するということです。このことを受け容れられないと「もっとほかの人生があるのではないか」という思いに至ります。そして、ほかの人生を探し始めると、まさに「自分とは何者か」という自分探しをした思春期から青年期のような行動をとることになるのです。しかし、思春期から青年期と決定的に違っているのは「ほかの人生を探したけれども、結局ものにはならなかった」ということが許されない年代だということです。

 これは「新しいことには挑戦するな」ということではありません。今までの人生をリセットして新たな人生を探し始めるのではなく、今まで積み上げてきたものを生かしながら今後の人生を考えたほうが良いということです。そのためには、今までの人生を見つめ直す前に自分の限界について向き合っていくことが必要になります。現実を受け容れつつ、これからの人生で自分には何ができるのかということを考えることがおとなの思春期の「課題」であり、この課題の達成がおとなの思春期を乗り越えることにつながるのです。

2.ロールモデルを自ら作りだす40代ゲイ

 40代以上のゲイにとって、この先の展望を見えにくいものにしている原因は、ロールモデルがないということです。多くのノンケが「幸せな家庭を築くために」といった目的のもとに「家を持つ」「毎年旅行に行く」「子どもの教育に力を入れる」といった様々な目標を持ちます。これは、先人たちのロールモデルを参考に自分たちの価値観を加味して思い描いた目標です。
 一方、40代以上のゲイにはそのようなロールモデルはありません。そのことは不安ももたらしますが、自分で作りだしていくことが、ゲイにとってのおとなの思春期を乗り越える課題と言えるでしょう。人生を切り開くいう覚悟と気力を持てるように、自分をコントロールしていくことが必要になります。

3.課題を達成するために

 おとなの思春期の課題をうまく達成できないと、自分探しをし続けることになり、何かしらの依存やうつ状態に陥る危険性があります。いったん立ち止まり、今までの人生を振り返りながらしっかりと考えることが重要です。うつ状態に陥るゲイが多いと言われていますが、このことが原因の一つと思われます。
 40代の特に男性は人に相談するということをあまりしませんが、課題を達成し今後の人生を充実させるためには相談することも有効です。相談しづらい内容ではありますが、ひとりで息詰まるようでしたらぜひ助けを求め相談してください。助けを求めることは、自分を守るスキルのひとつです。
 ゲイの方は、ノンケに比べ自由にできるお金が多いので、その使い道や自分への投資の内容を見直してみましょう。また、可能ならばパートナーを持ちたいところです。恋愛や交際に対する考え方を見つめ直してみてください。

 おとなの思春期は、自分をさらに成長させる転換期です。この転換期をうまく乗り越え、これからの人生を実り多きものにしていただきたいと思います。

井上伸郎

井上伸郎

カウンセリングルーム「こころの案内人」の代表。セクシュアリティに関わらず様々な方々の「悩みの解決」や「目標の達成」を、解決志向型カウンセリングによってお手伝いしています。

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