こころの案内人のブログ

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LGBT関連ビジネス ~私も同じ穴のムジナなのか?~

 8月21日の読売新聞朝刊に「LGBT配慮企業が本格化」という記事が掲載されました。「何を目的にした配慮なのか?」「誰のための配慮なのか?」少々”疑問が残る内容”です。そして、私が行っているカウンセリング活動も、実は”疑問が残る内容”なのではないか・・・。今回はそんなことを綴っていきます。

新聞記事の内容

新聞記事の内容についてまとめました。

LGBTへの配慮や対応策の具体例が書かれていました

 

 まず、今年5月に経団連が策定した「ダイバーシティ・インクルージョン社会の実現に向けて」という提言に触れています。経団連は、その提言を示すことにより「職場でのLGBT社員の差別解消に取り組むよう呼びかけている」と記事には記載されています。
 また、企業のLGBTへの配慮や対応策が紹介されています。キリングループは、7月から従業員の「配偶者」の定義に同性パートナーを加えたとあります。また、大手IT企業の例は、同性パートナーとの結婚に相当する関係も結婚祝い金の支給対象となるというものでした。実際に支給を受けた方(氏名・年齢記載あり)の感想が記載されており、「自分自身をオープンにできるようになった。」「人間関係が円滑になり、会社に貢献しようという気持ちが強まった。」と述べています。

企業がLGBTへの対応に本腰を入れ始めたのは・・・

 

 次に、企業がLGBTへの対応に本腰を入れ始めた理由について、シンクタンクの主席研究員の意見も含めて記載されています。理由は大きく2つ挙げられています。     

 1つは、人口減少が進む日本では、競争力を向上させるには多様な人材の活用が欠かせないからということ。もう1つは、人手不足のために、多様性を受け入れないと人材を確保できないからということです。

 記事は、法律面での整備が進まない中で、どのような方針で取り組めばいいのか、個々の企業では判断が難しいという課題で結ばれています。

LGBT対象の商品やサービスの例が記載されていました

 

 一方、記事内の1コーナーとして、「関連ビジネス6兆円規模」という見出しのもと、LGBTの人たちを対象とした商品やサービスの例が紹介されていました。

・同性カップルが共同で住宅ローンを組んだり返済ができるという銀行の商品。
・同性パートナーを保険金の受取人に指定できるという生命保険会社のサービス。
・家族を対象とした割引を同性パートナーにも適用するという携帯電話会社のサービス。
・同性のカップルが結婚式を挙げられるというホテルやテーマパークのサービス。

経団連が策定した提言の内容

 
 

 記事で触れられている経団連の提言について紹介します。以下は、経団連が今年の5月に公表した「提言の中の「3.わが国企業による取り組みの方向性(1)視点」の中から、私が気になった部分を抜き出したものです。

(1)視点

企業が、LGBTへの適切な理解を促すと共に、その認識・受容を進める上での視点は、主として以下の点が挙げられる。

①幅広いプールからの人材獲得と退職の抑制

「LGBTフレンドリー」を打ち出すことで、LGBT当事者である優秀な人材のみならず、当事者の周囲にいる人材を獲得し得る。また、社内のLGBTの社員らによるエンゲージメント(会社への忠誠心)の向上にもつながる

③自社ブランド価値向上

先進的な取り組みを進める企業として、広く世間に対してメッセージを発信することができ、自社のブランド価値向上につながる

⑤ビジネスの拡大

LGBTへの理解を深めることで、同性パートナーの存在を念頭に置いた商品の開発等、ビジネスの拡大につながる

記事と提言を読んで

新聞記事は、まだ潔いほうなのでは?

 

 新聞記事は、当事者の感想なども掲載し、企業の取り組みは当事者にとっても有益であることを強調してはいますが、結局のところ「人材確保」と6兆円規模とも言われているLGBT市場を狙った「ビジネスの拡大」、この2点がLGBTに配慮する理由だと述べています。配慮と言う言葉は使っていますが、「当事者のためというよりは企業のため」と認めているという内容であり、ある意味潔いのではないかと私は感じました。
 もちろん、今まで考えもしなかったLGBTという人たちに対して研究し、様々な制度を作っていくということを、個々の企業の努力によって成されているということには敬意を表します。一方で、それが当事者優先になっているかどうかについては、今一度考えていただきたいところです。
 

経団連の示した「取り組みの方向性」には疑問が残る

 
 経団連の提言ですが、せっかく「LGBTへの適切な理解を促すと共に、その認識・受容を進める」と書いているにもかかわらず、それらを進める上での視点が、理解を促すものには繋がりにくく、受容を進めるものとは思えない内容になっています。それは、3点あります。
 
 1点目は、「LGBTフレンドリーを打ち出すことで人材を獲得できる」と考えている点です。確かに、トランスジェンダーの方にとっては嬉しいことかもしれませんが、LGBTフレンドリーを打ち出したからと言って、応募が増えるとは思えないのです。
 なぜならば、企業側が気づいていないだけで、今までもLGBTの人たちを面接し採用しているからです。今までLGBTは採用しない方針だったのなら話は別ですが、既にLGBTにも門戸を開いているのですから、今後応募者が増えたり退職者が減るとは考えにくいと思われます。
 さらに、LGBTの社員によるエンゲージメントの向上については、ナンセンスの一言です。
 
 2点目は、「自社のブランド価値が向上する」という点です。ここで最も気になるのが、LGBTへの配慮が「先進的な取り組み」と記載されていることです。先進的ではなく、当たり前のことだと思うのですがいかがでしょうか。
 
 3点目は、「ビジネスの拡大につながる」という点です。そもそも「LGBTへの適切な理解を促すと共に、その認識・受容を進める」上での視点が、なぜビジネスの拡大なのでしょうか。「LGBTの市場は大きそうだ!それを開拓していこう!そうすればLGBTのためにもなる!」と言ってもらった方が、よほど分かりやすいです。LGBT向けサービスについては、代替えサービスがある場合にはわざわざ利用しないのではないか、カミングアウトをしなければサービスを受けられない場合は敬遠される、などの声があがっており、実際にその指摘通りになっているようです。
 

【余談】かく言う私も同じ穴のムジナなのだろうか?

 ここまでいろいろ書いてきましたが、気になるのは自分が行っているカウンセリング活動です。私は、ゲイの方をはじめ、さまざまな方のお役に立ちたいと考えて活動していますが、見方によっては”LGBT市場を狙った作戦”と思われるのではないかと懸念しています。いろいろ書いてきたことに対する、まさにブーメランですね。
 私は違うんです!と言い訳をするつもりは無いのですが、今後も地道に誠実に活動を続けてまいります。いろいろな考え方があることは承知していますので、ご意見・ご感想などがありましたら、どうぞお寄せください。

 

 

井上伸郎

井上伸郎

カウンセリングルーム「こころの案内人」の代表。セクシュアリティに関わらず様々な方々の「悩みの解決」や「目標の達成」を、解決志向型カウンセリングによってお手伝いしています。

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