こころの案内人のブログ

Original

「自分探し」してもいいじゃないか!~自分探しの評判が悪いわけ~

 あなたは、「自分探し」という言葉にどのような印象をお持ちですか?
「そんなもの、ケツが青い奴が使う言葉」「現実から逃げるための口実じゃない?」・・・そんな声が聞こえてきそうで、どうも評判がよいとは言えないようです。かく言う筆者も、本ブログの『40代は大人の思春期 ~ノンケもゲイも惑う時~』という記事において、人生をリセットするような「自分探し」はしないように警告を発しています。
 そもそも「自分探し」とは何なのか?上述の記事で私がお伝えしたかったことの補足の意味も込めながら、考えていきたいと思います。
 

「自分探し」の評判が悪いわけ

 「自分探し」の評判が悪い理由を2つ挙げます。実は、この2つの理由は「自分探しをしている(と思っている)人」が陥りやすい落とし穴でもあるのです。

1.「自分探し=仕事探し」と捉えている

 評判が悪い理由の1つ目は、「自分を探すとは、自分に合った仕事を探すこと」と捉えられているからです。逆に、自分探しと称して転職を繰り返したり、自分は何に向いているのか考え続けて職に就かなかったりといった、落とし穴に陥っている人がいるとも言えます。仕事が長続きしないわけですから、評判が悪いのもうなずけます。このような人は、「これは自分探しなんだ」と勘違いをしたまま、それこそ永遠に「仕事探し」を続ける恐れがあるので要注意です。

 仕事は人生において大変重要な要素ではありますが、仕事だけが人生ではありません。「何甘いこと言ってるんだ!」とお叱りを受けそうですが、その方には、仕事だけが自己実現できる唯一の道なのだろうか、とお聞きしたいと思います。「仕事=人生」という考えこそが誤った「自分探し」を生み出し、「自分探し」の評判を悪くしているのではないでしょうか?
 

2.「新しい自分」がどこかにあると思っている

 

 2つ目は、「自分探し」によって得られる自分とは「どこか別の場所にあって今の自分とは異なる新しい自分」であると考えているからです。
 「新しい自分になる」・・・これがクセ者です。今の自分が”変容”して「新しい自分」になるというのなら理解できます。これは、今の自分を受け入れて肯定したうえで、より良い方向に変化していくという意味合いだからです。一方で、上記の場合は「どこか別の場所に」とあるように、「今の自分とはまったく別の自分が存在していてそれを探す」という意味です。本当に、どこか別の場所に新しい自分がいるのでしょうか? 答えは「No」でしょう。さらに、この考え方は今の自分を否定することから始まっています。今の自分を否定して、未来が拓けていけるのでしょうか?

「新しい自分なんて、そんなもん見つかるわけないよ!甘いんだよ!」
「そんなことありません!今度の会社ではきっと見つかります!」
双方が、「自分探し」を誤って認識している会話の典型です。

 

「自分探し」とは何なのか?

 それでは、「自分探し」とは一体何なのでしょうか? また、どうすれば良いのでしょうか?
筆者もまだ若輩者。正直申し上げて、自信を持って言える部分と仮定の部分が混在していますが、考えていきたいと思います。

1.「自分探し」は主体的な行動

 

 先にも述べましたが、自分探しは仕事探しのことではありませんし、新しい自分はどこか別の場所にいるわけではないのです。筆者は、「自分の軸を見つけること」が「自分探し」であると考えています。これは、非常に主体的な行動です。
 一方、「仕事を探す」「新しい自分を求めて探し回る」というと、一見主体的な行動に見えますが、実はこれらは完全に受動的です。これらの行動は、その「新しい自分」というものがどこかに用意されているということが前提になっているからです。それは、新しい職場かもしれませんし、どこか新しい居場所かもしれないと考えているのです。それらを与えてもらえれば、本当の自分を手に入れ幸せになるという考え方です。一見「探す」という行動を取っているように見えながら、実は「与えられる」のを待っているという受け身の態度なので、「永遠に自分探ししてしまうよ」と指摘を受けても致し方ないでしょう。主体性なしに「自分探し」はあり得ないと考えていますが、いかがでしょうか。

 

2.自分の軸を探すこと

 「自分の軸を探すこと」が「自分探し」だと申し上げました。軸とは、他人に振り回されない自分なりの考え方、生き方です。この軸があると、どのような環境(例えば職場)にいても自分らしくいられるからです。この軸は、考え方や生き方だけでなく、働き方や自分が心からしたいと思うこと(志)なども含まれるでしょう。

 恥ずかしながら申し上げますと、筆者はこの軸がないまま流されるように生きてきました。確かに、軸を見つけることは難しいことではありますが、人生の要所要所(青年期・中年期など)で乗り越えるべき課題でもあります。ところが、筆者の場合、あまり意識することなく青年期を通過してしまいました。そのため、他人と比較して振り回されることもあったように思います。また、自分の中の軸が脆弱なため、外にある「仕事」に自分を求めようとしました。仕事に依存したとも言えます。結果的に「キャリアショック」に陥りました。年齢は40代。「中年の危機」とも重なり、否応なしに自分と向かい合うこととなり、遅ればせながら軸の存在に気づくことになります。これは、私にとって大変大きな出来事でした。まだまだ途上ではありますが、これだ!と言えるところまで突き進みたいと考えています。

3.自分の中のリソースを探る

 最近参加したある勉強会で、年に1回は「自己棚卸」をするという方がいらっしゃいました。「自己棚卸」とは、いままでの人生を振り返り経験を全て洗い出すというものです。「自己棚卸」をすることで、自分のできること、やりたいことが見えてくると仰っていました。この棚卸は「自分探し」に通じるものがあるのではないでしょうか?
 先ほど、自分探しは自分の軸を探すことと言いましたが、軸というものが突然頭の中にひらめくことはそうそうないでしょう。何度も申し上げますが、自分(軸)は外ではなく内側にあるのです。その内側を見つめ直す時、「自己棚卸」というのは有効な手段のように思います。

 おとなの思春期である「中年の危機」に遭遇している方にもお勧めします。今までの人生をリセットして新たな人生を探すやり方は、別の場所にある新しい自分を探すという受け身の考え方に他なりません。今まで積み上げてきたものを生かしながら、今後の人生を考えていきましょう。そして、それは仕事だけとは限らないはずです。
 

まとめ

 「自分探し」を「仕事探し」と考えるのならば、止められるのは無理もないことでしょう。「どこかに新しい自分がいるはずだ」と言うのなら、「夢を見ているんじゃない!」と言われても仕方がないでしょう。しかし、本当の「自分探し」とはそういうものではなく、「自分の軸を探すこと」だと筆者は考えます。就職活動中の若い方、仕事に忙殺されそうな中堅社員の方、そろそろ先が見えてきたというミドル・シニアの方、また主夫や主婦の方も、今更自分探しなんて・・・と仰らずに、自分を見つめ直してみてはいかがでしょうか。

 

【関連記事】

40代は大人の思春期 ~ノンケもゲイも惑う時~
・「職場で必要とされなくなった」その不安に立ち向かうには

井上伸郎

井上伸郎

カウンセリングルーム「こころの案内人」の代表。セクシュアリティに関わらず様々な方々の「悩みの解決」や「目標の達成」を、解決志向型カウンセリングによってお手伝いしています。

ご意見をお待ちしております

ブログ記事へのご意見・ご質問をお待ちしております。

この内容で送信します。よろしいですか?