こころの案内人のブログ

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「原因探し」はほどほどに ~「原因探し」の落とし穴に落ちない方法~

 前回の記事で、「問題志向」・「解決志向」のどちらを採用するかは、起こっている問題の質や内容によって判断した方が良いと述べました。また、こころの問題(自分の考えや気持ちに関わる問題)については、「解決志向」の方が負担が少なくて済むということも併せて述べさせていただきました。
 「それは分かっているんだけど、どうしても問題志向になってしまう・・・」という方のために、どうすれば問題志向にならずに済むか今回は考えていきます。問題志向になってしまうのは「原因探し」に終始してしまうからです。その原因探しをほどほどで止める方法を考えていきましょう。
 

「原因探し」の落とし穴

 こころの問題では「問題志向」にどっぷりハマってしまうと、当事者の負担が大きい割に問題が解決しないことが多いようです。なぜ、解決に至らないのでしょうか?

1.原因らしきものが見つかっただけで安心してしまう

 

 
※「原因探し」の事例として筆者の経験を記しますが、うつ病の方には筆者がとった行動はお奨めできるものではありませんので、どうぞご注意ください。
 
 筆者はうつ病を経験しています。うつが酷い状況の時は、解決どころか原因を考えることすらできません。ひたすら苦しいのですが、少し気分が上向いて外出できるようになった時に筆者が取った行動は、書店に行ってうつ関係の書籍を読むことでした。当時、筆者はパソコンを持っておらず、ネット検索も今ほど普及していなかったので、情報源として書店に向かったわけです。
 比較的読みやすい関連図書を多数読みしましたが、その目的は「なぜ、自分はうつ病になったのか原因を知ること」でした。いろいろな事例を見つけては「これは自分と似ている」「これこそ、自分のことだ」と判断していました。この場合の「原因」とは、自分の性格や考え方の傾向でしたが、「あったよ!これこれ!」と思うような記載を見つけた時に、ホッとした安心感を覚えたことを記憶しています。
 しかし、それは原因(しかも本当かどうか不明な)を見つけただけで、何も解決には向かっていません。このように、原因を探っただけで安心してしまい、肝心の解決に対して目を向けることをせずに放っておく、ということが多いのではないでしょうか。
 

2.見つけた「原因」はホンモノなのか?

 
 先の筆者の事例ですが、書籍に書かれたうつの原因は一般的な傾向であり、必ずしも筆者自身の原因とは限らないことは言うまでもありません。しかし、原因探しで頭がいっぱいの時には、そのようなことを考える余裕すらない時も多いのです。ここに「原因探し」の落とし穴があります。また、見つけたと思った原因が、根本的・本質的なものかどうかを判断するのは非常に難しいことです。それは、あくまで問題が起こるきっかけのようなものであり、根本原因ではない場合もあるからです。 
 「これが原因だ」と思ったことが実はそうではなかったり、原因に関連することではあるが根本・本質でなかったり、さらには「本当の原因は他にあるのではないか」という思いから原因探しが長期化してしまったり、このようなことが本人の負担となっていくのです。
 

「原因探し」の落とし穴に落ちない方法  

1.闇雲に「原因探し」を始めない

 原因探しをするということは、何かしらの問題や悩みを抱えているということかと思います。その場合、当事者の目的とは何でしょうか? それは、言うまでもなく問題や悩みを解決することです。ところが、その目的を置いてきぼりにして「原因探し」に終始してしまうのはなぜでしょうか。
 それは、目的である「解決すること」にそもそも考えが及ばず、「原因」のみに考えが向いてしまうからです。これは、起こっている問題を受け入れることができていない時に起こります。「なぜ、自分がこんな目に合わなければならないのか!」といったような憤りや悲しみ、あるいは不安の渦に巻き込まれている状況で、とりあえずその渦から抜け出そうとする時に「原因探し」をしがちなのです。
 ところが、そのような状況での原因探しはさらに不安を増すため、負の感情の渦から抜け出すことができません。原因を突き止めることができない自分を責めてしまう可能性もあるのです。
 まずは、起こった問題や悩みを受け止めることから始めましょう。可能であれば、信頼できる人に話を聴いてもらうことをお勧めします。渦巻いている感情を吐き出してください。そして、自分の中にある気持ちや考え、さらには起こっている問題そのものを見つめてみてください。闇雲に行動するのではなく、自分を見つめることができるまで待つことも必要です。
 

2.目的は何か、忘れずに意識しよう

 

 「解決する」という目的を達成するために、原因を特定することが必要な場合があります。ここで間違ってはいけないのは、この場合の「原因探し」は”手段”だということです。ところが、いつの間にか「原因探し」が目的になってしまうことがあるので、注意が必要です。手段が目的にとって代わるような落とし穴にはまるのは、そもそも追いかけなくてもよい「原因」であった可能性が高いです。追いかけても特定が難しいものや簡単には表現するのが難しいもの、複数が絡み合っているものです。このような場合、原因探しを目的としてしまうと、自分に都合のよい原因を作りだしてしまう可能性もあります。それでは意味がありません。
 原因の特定に時間がかかる場合、原因探しが自分にとって楽しいものではない場合、むしろ苦痛が伴う場合は、その時点でストップしてください。どうしても気になるのなら、専門家の助けを借りましょう。
 

3.「解決」へ目を向けてみる

 

 
 「解決」へ目を向けることは難しいことではありません。キーワードは「自分はどうなりたいんだっけ?」です。このキーワードの答えを探してみてください。一方で、この答えを出すことは、意外と難しいことです。
 ポイントは3つ。1つ目は「~しなければならない」ではなく、「~したい」あるいは「~する」と考えること。2つ目は、なるべく具体的に考えること。3つ目は、答えは「言葉」にするのですが、その際に否定形は使わないということです。このポイントに留意して「どうなりたいんだっけ?」に対する答えを書き出してみましょう。
 そして、書き出したものに対して「それってどういうことだろう?」と深掘りしてみてください。その深堀りがより具体的にしてくれます。具体的になるほど「どうなりたい」の実現確率は高まります。これは、問題解決だけでなく目標設定のコツでもあります。ぜひ、お試しください。一人ではなかなかうまくいかない、という方は、お気軽にご相談ください。お力になれると思います。
 

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井上伸郎

井上伸郎

カウンセリングルーム「こころの案内人」の代表。セクシュアリティに関わらず様々な方々の「悩みの解決」や「目標の達成」を、解決志向型カウンセリングによってお手伝いしています。

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