こころの案内人のブログ

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完璧主義者がリーダーになる時 ~自分も部下も苦しまないために~

 もし、あなたが「完璧主義」でその完璧な仕事ぶりが評価され管理職になった時、どのようなマネジメントをしていきますか?「あなたは完璧主義ですね。」と言われる時、称賛の意味とその逆の意味が含まれていることがあるように、「完璧主義」には良い面と悪い面の両面があるのです。その悪い面が現れた時、管理職であるあなたも部下も苦しみます。
 今回は「完璧主義者の傾向」、「完璧主義の悪い面が現れた際の影響」、「完璧主義の悪い面を防ぎ良い面を活用する方法」について考えていきます。

【目次】

◆タイプ別「完璧主義者」
1.常に全力投球タイプ
2.期待に応えようとするタイプ
3.自分に厳しいタイプ

◆「完璧主義」の管理職が与える影響
1.管理職自身への影響
2.部下への影響

◆「完璧主義」の管理職はどうすれば良いのか
1.「完璧主義」の良い面を生かす
2.バランスを取る/やり方に固執しない
3.スモールステップで/サポーターを探す

タイプ別「完璧主義者」

1.常に全力投球タイプ

 1つ目のタイプは「常に全力投球タイプ」です。「全力投球できるのは素晴らしいではないか!」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。確かに、楽しみながら全力投球しているのであれば素晴らしいことです。それは「完璧主義」が良い意味で機能していると言えるでしょう。
 一方で、全力投球する背景に不安や強迫観念がある場合はどうでしょうか。仕事を進める上でミスを防ぐことは重要ですが、「ミスをしたらすべては終わりだ」「失敗したことを他人に知られるのは耐えられない」といった気持ちが強く常に自分を追い詰めている状態は、「完璧主義」が悪い形で現れていると言えます。仕事を楽しむことができず、常にストレスを抱えることになります。 

2.期待に応えようとするタイプ

 


 2つ目は「期待に応えようとするタイプ」です。顧客や会社の期待に応えるべく努力することは素晴らしいことです。しかし「完璧主義」の悪い面が現れてしまうと、「期待に応えること」がいつの間にか「他人の評価を気にすること」にすり替わってしまうのです。悪い評価を避けたいというネガティブな気持ちが強くなり、常に他人の目を気にして顔色をうかがうことになると、周囲の人の意見や助言を受けとめることができなくなります。自分の至らない部分を指摘されることが怖いからです。また、ミスをせず評価を落とさないことを優先するため、本来の仕事の目的を見落としがちです。当然、創造性を必要とする仕事では力を発揮できません。
 

3.自分に厳しいタイプ

 

 3つ目は「自分に厳しいタイプ」です。自分に厳しく自らに与えた目標や水準をクリアした場合、達成感が得られ意欲が増すというメリットがあります。
 一方で、それが度を越してしまったり偏った考えに縛られてしまったりすると「完璧主義」の悪い面が現れてきます。例えば、完璧を期すために必要以上のエネルギーを投じ心身に負担を強いることです。先述の「全力投球」にも関連しますが、すべての仕事に同じ量のエネルギーを注ぐ必要はないのですが、このタイプはそれが許せずに優先順位や強弱をつけることができないからです。また、仕事のやり方についても柔軟に考えることができません。「必ずこのやり方でやらなければならない」という頑なな思い込みがあるからです。
 これだけ注力してもミスが起きた場合は、激しく自信を失うことになります。この自信のなさが、さらに自分への厳しさを強化してしまうのです。

「完璧主義」の管理職が与える影響

1.管理職自身への影響

 「完璧主義」の中でも特に自分に厳しいタイプは仕事の成果を出しやすいので、いわゆる平社員の時には評価される傾向にあります。自分のやり方で評価を受けたわけですから、「完璧主義」はさらに強化されていきます。管理職になると部下を持たない時のようにはいきません。直接業務に当たるのは自分ではなく部下になるからです。 
 しかし、部下は自分と同じような「完璧主義」とは限りません。むしろその可能性は低いわけです。そうなると「完璧主義」の管理職は、部下を自分の思い通りにコントロールしようとします。コントロールしても思い通りにいかなかった場合は激しいストレスになり、怒りさえ抱くこともあります。
 また、部下の良い所よりも悪い所が目がいく減点主義となり、さらに口出しするようになるという悪循環に陥ります。部下も自分自身も疲弊し、チームの業績低下を招くことになります。 
 

2.部下への影響



 自分たちをコントロールしようとする「完璧主義」の上司に対し、反発する部下も当然現れてくるでしょう。しかし、往々にしてこのような「完璧主義」の上司は押しが強く、自分の意見に従わせようとします。それは、完璧であることで評価を受けてきた自信と自負があるからです。そうすると、部下としては従わざるを得ません。チーム全体が委縮し徐々に生産性が低下していくことになります。部下のモチベーションと主体性は奪われ、創造性のある仕事を遂行することが困難になってくるのです。

 また、自分の経験を基に指導するため柔軟に対応することができません。変化の激しい時代にとってこれは大きなマイナスです。チームの業績低下の原因が、自信のマネジメントにあることを上司が気づかない限り、この悪循環は続くことになります。当然、部下の成長やキャリア形成という視点も欠如することになり、部下が去っていく事態にもなり得るのです。
 

「完璧主義」の管理職はどうすれば良いのか

1.「完璧主義」の良い面を生かす

 「完璧主義」は決して悪いことではありません。ここまで述べてきたように、度が過ぎてしまったり「完璧主義」である背景に偏った考えやネガティブな感情が存在する時に「悪い面」が現れてしまうのです。
 一方で「完璧主義」の良い面もたくさんあります。先に述べた3タイプ「全力投球」「期待に応える」「自分に厳しい」、これらをうまく機能させればすべて良い面として現れます。それぞれが思うようにいけば、達成感が得られ自信に繋がりモチベーションが向上します。その結果、仕事の成果も向上し、周囲の信頼と評価も受けさらに意欲が増すという好循環になっていくのです。
 では、悪循環ではなく好循環にするためにはどうすればよいのでしょうか?そのことについて説明していきます。

2.バランスを取る/やり方に固執しない

 
 
 「完璧主義」の悪循環に陥るのは、すべてのことに同じエネルギーを注ぎ、同じやり方をするためです。まず、業務によって注ぐエネルギーを調節しましょう。例えば、業務の重要度を検討し、それによってかける時間に強弱をつける、チェックする回数に差をつける、それぞれ納期を明確にする、部下に任せるものは任せる、といった工夫です。この業務の分解と分担をひとりで行うのではなく、部下も参加させましょう。チームのリソースを把握しやすく、チーム全体のモチベーション向上にも役立ちます。

 次に「やり方」ですが、前例に固執しないようにしましょう。特にうまくいかないやり方については、「やり方が悪いのではなく自分や部下が悪い」という発想を捨てることが大切です。正しくやることに固執せず、新しいやり方にチャレンジしてみてください。その時に「絶対うまくいくやり方」を追い求めていると、いつまでも前に進めません。やりながらチェックし改善していくという姿勢が必要です。また、その途中経過は極力オープンにしましょう。自分で抱え込んだり失敗を自分でカバーしたりすると、「完璧主義」の悪循環に逆戻りしてしまいます。
 

3.スモールステップで/サポーターを探す

 

 習慣となってしまった「完璧主義」を、急に好循環へと変えていくことは難しいかもしれません。それを変化させるコツは、「具体的な目標」と「スモールステップ」です。
 

 例えば「部下に任せる」と考えただけでは、おそらく実行できないでしょう。どの業務を、誰に任せるか、任せる際にどのように指示を出すか、納期をいつにするか、途中報告の日時、遂行が難しい場合のバックアップ、自分は口を出さずにどのようにチェックしていくか、こういったことまで具体的に考えておく必要があります。また、こういったことをすべての業務についていっぺんに行うと、行き詰まる可能性があります。万が一失敗しても影響の少ない業務から、できる範囲で少しずつ行ってください。

 さらに、上司や同じ管理職の同僚などのサポートを受けることをお勧めします。「完璧主義者」は一人で抱え込んでしまいがちです。自分やチームが抱えている問題や好循環に向けての新しい試みについて伝え、その状況を報告しながらアドバイスを受けてみるのです。失敗を恐れるためにプロセスを隠す、ネガティブな評価を受けたくないために意見や助言を受けとめない、といった「完璧主義」の悪い面について、徐々に改善していくためにも有効です。

井上伸郎

井上伸郎

カウンセリングルーム「こころの案内人」の代表。セクシュアリティに関わらず様々な方々の「悩みの解決」や「目標の達成」を、解決志向型カウンセリングによってお手伝いしています。

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