こころの案内人のブログ

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「自分はダメな人間だ・・・」~自分を責めてしまう人~

 誰でも、失敗したり迷惑をかけたりしたら「自分はダメだなあ」と考える時があるでしょう。しかし、何事においても自分を責めてしまう人がいます。自分を責め、自分を罰し、自分を蔑にする人は、つらい思いをしながらもそのつらさや苦しみから抜け出すことが難しいのです。
 今回は、常に「自分を責めてしまう背景」と、その「苦しみから抜け出す方法」について考えていきます。

【目次】

◆なぜ、自分を責めてしまうのか
1.過剰に相手の期待に応えようとする(強い承認欲求)
2.さまざまな刷り込み ~親・教師の影響
3.完璧主義

◆「自分を責めること」から抜け出すには
1.「トラウマだから」で終わらせない決意と行動
2.「行動の問題」と「人格」を切り離す

◆最後に
 

なぜ、自分を責めてしまうのか

1.過剰に相手の期待に応えようとする(強い承認欲求)

 「自分を責めてしまう人」は、相手の期待に応えようとする気持ちが強い傾向にあります。期待に応えたいという気持ちは誰にもありますが、「自分を責めてしまう人」の場合はそれが過剰で、相手の期待に応えることで”自分を保とう”としているのです。それは無意識のうちに行われ、自分の本当の気持ちや欲望を抑えつけていることに気がつきません。

 過剰に相手の期待に応えたいと考えるのは、強い「承認欲求」のためです。承認欲求とは、誰かから認められたいという感情のことです。「自分を責めてしまう人」は、自分はダメな人間だと思って責めているわけですから、自分で自分のことを承認すること(自己承認)ができません。承認を注ぐコップがこころの中にあるとすると、「自分を責めてしまう人」のコップは常にカラの状態です。自分で満たすことができないためです。しかし、人はそのコップに多少なりとも承認を注がれていないと生きることができません。したがって、他人の承認(他者承認)を注いでもらうために行動してしまうのです。それが、過剰に他人の期待に応える行動に結びついているのです。
 

2.さまざまな刷り込み ~ 親・教師の影響 ~

 


 先に述べたように、「自分を責めてしまう人」の背景には強い承認欲求があるのですが、承認欲求が強くなったのは「身近にいる人の影響」が考えられます。代表的な「身近にいる人」は、親と先生です。

 特に母親の影響は大きいものがあります。例えば、「子どもの頃から叱られてばかりで褒められたことがない」「何をやっても兄と比較され、お兄ちゃんはできるのにねと言われる」「テストで90点取ってもあと10点頑張れと言われ、褒められなかった」などということは、よく聞く話ではないでしょうか。子どもにとっては、母親に認めてもらったという実感を持つことがないので、母親が気にいるような行動をするようになります。
 一方で、子どもに依存してしまう母親もいます。母親自身が自分の承認欲求を満たしたいがために、子どもの自立を阻害し自分の支配下に置こうとするのです。一見優しくて仲が良い親子関係に見えますが、実は子どもがいつまでも自分を必要とするように仕向けているのです。

 教師の場合も同様です。生徒の話を聞こうとしない、この生徒はダメだと決めつける、他の生徒と比較する、特定の生徒だけを評価する、生徒の良い所を探そうとしない、など、教育やしつけ、あるいは学級運営や進路指導という名のもとに、生徒の自尊心を奪っている場合があるのです。
 

3.完璧主義

 

 完璧主義の人の中にも「自分を責めてしまう人」がいます。失敗した自分、完璧にできない自分を許すことができないからです。完璧主義の人は、失敗すると次回は失敗しないようにと努力しますが、それでも自分が満足いく結果が得られないと自分を責めるようになってきます。 完璧主義は、もともとの性格傾向によるものもありますが、先に述べたような「親の影響」によるものも大きいようです。

※「完璧主義」については、こちらの記事で詳しく述べています。
『完璧主義者がリーダーになる時 ~自分も部下も苦しまないために~』

「自分を責めること」から抜け出すには

1.「トラウマだから」で終わらせない決意と行動

 

 「トラウマ」という言葉をよく聞きます。「自分を責めてしまう人」も、何となく親の影響を受けているのではないかと気づいても「トラウマになっているんだ」で終わらせてしまうと、その苦しみから脱することはできません。今までの延長線上の生き方をすることになります。自分が何かしらの「過去」から悪い影響を受けていると認識したのなら、そこから脱して新しい未来を生きる決意をする必要があります。これは、決して簡単なことではありませんが、決意しない限り変わることはできません。「他人の人生」ではなく「自分の人生」を生きるのだと決意することです。そこから、すべては始まります。

 決意し未来をイメージできたならば、そのイメージに到達するよう行動を起こしていきます。その時のポイントは2つあります。「過去に影響を受けた人ではなく別の人に焦点を合わせること」と「遠い過去ではなく、現在やごく近い過去に焦点を合わせること」です。
 例えば、母親に影響を受けてきたのであれば、母親と過去の母親との出来事ではなく、会社関係や友人など別の人との現在の関わりに目を向けていきます。そして、会社関係や友人といった現在のかかわりの中で、次のような事を見つけていくのです。

  • 認めてもらえたこと、評価されたこと
  • 自分の意見をきちんと言えたこと
  • 協力してやり遂げたこと
  • 周囲の目を気にせず自然体でいられたこと
  • 反省はしたが自分を責めずにいられたこと

 これらのことは、あなたが過去に影響を受けた人以外との関係においては、自分を責めずにいられたことを表していますので、まずは自信を持っていただきたいです。つまり、すべてにおいてトラウマに支配されているのではないということです。次に、それぞれ自分はどのように考え行動したのか具体的に思い出していきましょう。その時の考え方と行動に解決のヒントがあるはずです。

 このようなことを重ねていきながら「自分はトラウマに縛られてはいないのだ」ということを受け入れ、自尊感情を高めていくことから始めていきましょう。過去に影響を与えられた人とのかかわりについて対処するのは、その次になります。
 

2.「行動の問題」と「人格の問題」を切り離す



 次に、完璧主義の人の場合ですが、「行動の問題」と「人格の問題」を切り離して考えるようにしていきましょう。つまり、うまくいかなかったのは、やり方などの「行動」に問題があるからであって、自分自身(人格)そのものに問題があるということではないと考えてほしいのです。
 「そんなことはわかっている!」という方もいらっしゃるでしょう。そのような方に質問しますが、もし本当に自分自身に問題があるのなら、すべてのことにおいて失敗しないのはなぜでしょうか? うまくいったこと成功したことは必ずあるはずですから、少なくとも人格の問題ではないということはお分かりいただけると思います。

 自分を責めたくなり苦しくなった時は、視点をずらして成功した時のことを思い出してください自分はできるのだということを確認するのです。反省や改善はそのあとでも遅くはありません。
 人は失敗したことの方を印象強く記憶しがちだからです。普段から、うまくいった経験やいざという時に助けを求められる人や情報といった「リソース」を意識し、活用できるようにしておくことをお勧めします。

最後に

 自分を責めることをやめるには、「囚われ」から抜け出す決意をすることが非常に大切です。いくら「囚われ」の原因がわかっても、逆にその「原因」に囚われて立ち止まってしまっては何も変わりません。過去を受け入れたら、現在そして未来に視点を動かしていく勇気が必要なのです。

 また、うつなどの病気が原因で自尊感情が低下し、自分を責めてしまうという場合もあります。不眠、食欲低下、意欲の低下、思考力の低下などのうつ症状が現れている場合は、自分で判断せずに医療機関を受診なさることをお勧めします。

井上伸郎

井上伸郎

カウンセリングルーム「こころの案内人」の代表。セクシュアリティに関わらず様々な方々の「悩みの解決」や「目標の達成」を、解決志向型カウンセリングによってお手伝いしています。

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