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カウンセリングは話を聴くだけ? ~カウンセリングのよくある3つの誤解~

 日本におけるカウンセリングの認知度は徐々に高まってきています。しかし、まだまだカウンセリングに対する誤解も多く、その誤解がカウンセリングを受けるハードルを上げているのではないでしょうか。今回は、よくあるカウンセリングに対する誤解について、取り上げていきます。

【目次】

◆1.カウンセリングって話を聴くだけ
1)「聴くこと」はカウンセリングの基本
2)カウンセリングは話を聴くだけではない

◆2.カウンセリングは精神疾患者が受けるもの?
1)カウンセリングと医療機関
2)深刻な悩みじゃないと受けられない?
3)「変わりたい」にもカウンセリングは活用できます

◆3.カウンセラーに依存しない?
1)効果はカウンセラーだけの力ではない

カウンセリングって話を聴くだけ?

1.「聴くこと」はカウンセリングの基本

 「話を聴くことだけ」がカウンセリングではありませんが、「聴くこと」はすべてのカウンセリングの基本です。

 話を聴くことに重点を置いている理由は、カウンセラーが悩みや相談内容を把握するためだけではなく、相談者の話をカウンセラーが共感的・受容的に聴くだけでもカウンセリングの効果があるからなのです。その効果は大きく2つあります。

 1つ目は「カタルシス効果」カタルシス効果とは、胸のうちに溜まっていたものを吐き出すことでスッキリし、気持ちが楽になるという効果のことです。カウンセラーは、相談者の話を決して否定せず共感的に聴く訓練をしています。途中で話をさえぎり自分の意見を言うこともありません。したがって、相談者は安心して自由に話すことができ、カタルシス効果を得やすいのです。
 2つ目は「気づきを得ること」です。相談者の多くは「自分に自信が持てない」など、状況を訴える事から話を始めます。しかし、話をしていくうちに「苦しい状況になったきっかけ」や「その時の自分の気持ち」といった深い話に変化していきます。このように、今まで届かなかった部分に視線が向くように気づきを得られ、この気づきが増えて深まることで悩みが解決されていきます。
 

 お気づきだと思いますが、カウンセリングにおいては、カウンセラーはご相談者に対し自分の意見などの助言はしないのが原則です。したがって「こうした方がいいですよ」といったアドバイスが欲しいと思っていた相談者にとっては、「話を聴いてもらっただけ」と感じるかもしれません。しかし、それはカウンセラーの力量不足の可能性が高いと言えます。そのカウンセラーは「聴いてもらっただけ」という落胆の気持ちを生じさせるような「話の聴き方」しかできていなかったのです。本来、話を聴くこと(傾聴)はカウンセリングの基本であり、それだけでも効果をもたらすものです。その効果を相談者が感じることができれば「聴いてもらっただけ」と落胆することはないはずです。 

2.カウンセリングは話を聴くだけではない

 

 「話を聴くこと」を基本にしながら、さらに介入するカウンセリングもあります。よく耳にする「認知行動療法」や筆者が行っている「解決志向型カウンセリング」もそのひとつです。「アドラー心理学」もそうですね。ここでは、「解決志向型カウンセリング」を例にして「聴くこと」に加えたアプローチについてご説明します。

 「解決志向型カウンセリング」は、悩みや問題の原因を探すよりも、相談者が決めた解決イメージ(解決目標)に到達するよう援助していくことが特長であり、これが傾聴中心のカウンセリングと大きく違うところです。とは言うものの、悩みの真っただ中にいて気持ちが落ち込んでいるような相談者にとっては、目標をイメージすることは非常に難しいこと。そこで、解決をイメージしてもらう前には、やはりしっかりと話をお聴きし、相談者の気持ちを落ち着けながら整理してもらうのです。このまま傾聴を続け気づきを引き出すのが傾聴中心のカウンセリングですが、解決志向型ではさまざまな角度の「質問」をしながら、相談者の解決イメージやそのイメージを実現するための力(相談者がすでに持っている力)を引き出していきます。その後、解決イメージに向けた具体的な行動を相談者にはしていただくようになります。

 このように「聴くだけ」ではなく、相談者が何かしらの達成感や解決した感覚を得られるよう、積極的に介入するカウンセリングもあるのです。
 

カウンセリングは精神疾患者が受けるもの?

1.カウンセリングと医療機関

 
 精神科や心療内科などの病院もカウンセラーも、メンタルの不調を援助するという共通点はありますが、その援助方法には大きな違いがあります。
 病院では医師が診察をし病名を診断します。必要であれば薬を処方し、治療と指示という方法で病気や症状を治していきます。つまり、援助の対象は「患者」ということになります。一方、カウンセラーは医師ではありませんので、病名の診断はしませんし薬も処方しません。医師とは異なり治療や指示ではなく、先に述べたように傾聴などのカウンセリング(心理療法)という方法で状況の改善を図ります。つまり、援助の対象者は「クライエント(ご相談者)」ということになります。

 また、病院とカウンセラーは連携をしています。例えば、カウンセリングを受けにきたご相談者にうつ病の疑いがある場合は、病院を紹介し受診を奨めます。一方、病院においても投薬による治療と並行してカウンセリングを行っているところがあります。院内にカウンセラーが常駐している病院もありますし、外部のカウンセラーを紹介する場合もあります。

 ご自分がカウンセリングと病院のどちらを受けた方が良いのか迷った場合ですが、メンタルの不調と身体の不調(胃痛・吐き気・頭痛等)の両方の症状がある場合は、病院を受診してください。それ以外の場合は、どちらでも良いのでまずは相談することをお勧めします。「病院で特に病気とは判断されなかったが、それでも悩みや不調が改善されない」という場合はカウンセラーにご相談ください。また、カウンセラーが受診を奨める場合もあります。一人で悩ます、相談することが先決です。
 

2.深刻な悩みじゃないと受けられない?



 深刻な悩みではなくても、生活に支障が出るほどのつらい状況ではなくても、カウンセリングを受けていただいて構わないのです。深刻な悩みとなる以前の状況、例えば「最近、気分が落ち込む」「やる気が出ない」「考えがまとまらない」といった段階でカウンセリングを受けていただくことで、早めの対応を行うことができます。カウンセリングにはメンタル不調を予防する役割もあるのです。
 

3.「変わりたい」にもカウンセリングは活用できます



 「自分の性格のこういうところを改善したい」「人間関係をよくしたい」「積極的になりたい」といった、自分自身や自分の置かれている状況を改善したいということにもカウンセリングを活用することができます。つまり、何かしら「変わりたい」という自己変革的なことにも、カウンセリングは効果を発揮することができるのです。

 筆者が行っている「解決志向型カウンセリング」では、ご相談に「自分はこうなりたい」という解決イメージを明確に持っていただきます。この解決イメージはカウンセラーが決めるのではありません。傾聴や質問等のカウンセリングスキルを使って、ご相談者から引き出すのがカウンセラーの役割です。そして、その解決イメージに近づくための援助をするのもまたカウンセラーの役割です。
 一人ではなかなか解決イメージに到達しない、あるいは解決イメージを明確にすることも難しい、現実の中で解決イメージに到達するよう行動するのも難しい、こういう方も多いのではないでしょうか。このような場合に、カウンセラーによる援助は大きな力になるはずです。このように「目標達成」にカウンセリングを活用することもできるのです。

 

カウンセラーに依存しない? 

1.効果はカウンセラーだけの力ではない

 

 カウンセリングの効果を感じるがゆえに、カウンセリングを終了することに不安を感じる相談者もいらっしゃいます。そのようなことのないように、カウンセラーは適切な距離感を保つよう留意すべきなのですが、熱心になってしまい逆に不安を与えてしまうケースもあるようです。カウンセリングの効果が出たことは素晴らしいのですが、ここで考えていただきたいのは、その効果のすべてがカウンセラーの力によるものではないということです。相談者がカウンセリングの時間中はもちろん、それ以外の時間においてもしっかりと自分に向き合ったからこそ効果が出たのです。つまり、相談者自身の力も大きいのです。そう考えれば、一人でも自信を持って進んでいくことができるのではないでしょうか。

 手前味噌にはなりますが、当カウンセリングルームにおいては、カウンセリング終了後も相談者自身でセルフケアができるよう対処法をお伝えしており、好評をいただいております。カウンセリング終了後にも新たな困難に出会う可能性はありますので、その時の対処法についてカウンセラーから学ぶこともカウンセリングの活用法のひとつではないでしょうか。

【関連ページ】

・解決志向型カウンセリングとは
・カウンセリングメニュー

井上伸郎

井上伸郎

カウンセリングルーム「こころの案内人」の代表。セクシュアリティに関わらず様々な方々の「悩みの解決」や「目標の達成」を、解決志向型カウンセリングによってお手伝いしています。

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