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カウンセラーが教える「職場のコミュニケーションを向上させる方法」

 新卒社員や転職者の入社、人事異動、新しい部署やプロジェクトの誕生など、新年度を迎えた職場は「人の動き」が多かったのではないでしょうか。チームの生産性を高めるには、新しいメンバーを含めたよりよい人間関係が必要です。そして、そのよりよい人間関係を構築するにはコミュニケーションが欠かせません。今回は、カウンセラーの視点から、スキルとはまた違う「チームのコミュニケーションを向上させる方法」を考えていきたいと思います。キーワードは「相手の関心ごと」です。

【目次】

◆職場におけるコミュニケーションと
1.コミュニケーションの「スキル」と「マインド」
2.コミュニケーションの要素 

◆コミュニケーションを妨げるもの
1.「伝わっているはず」という誤解
2.実は誰でも「色メガネ」をかけている

◆コミュニケーションを向上させるには
1.「共感的に聴くこと」で思い込みを軽減できる
2.共感的に聴くコツ~相手の”気持ちや関心ごと”に関心を持つ~


職場におけるコミュニケーション

1.コミュニケーションの「スキル」と「マインド」

 職場においてチームで仕事を進めるには、「指示・命令」「報告・連絡」「相談」「提案」「要求・依頼」「アドバイス」など必要です。これらはすべてコミュニケーションであり、正確さや簡潔さ、タイミング、スピードといった「スキル」が要求されます。
 
 一方で、これら以外に「チームを活性化するためのコミュニケーション」も必要です。お互いのことを知るなど、メンバー間の信頼関係を築き一体感や安心感を醸成するためのコミュニケーションです。この場合、「スキル」だけでなく「マインド」も重要になってきます。
 特に、新年度で新しくメンバーを迎え入れたり、新たに立ち上がったプロジェクトで今まで交流の少なかったメンバーと仕事をするときには、このようなコミュニケーションは不可欠です。また、精神的な課題を抱える部下がいる場合、あるいはそういった部下が出ないようケアするためにも、リーダーは「マインド」を持ったコミュニケーションが求められるようになっています。

2.コミュニケーションの要素

 コミュニケーションの向上を考える前に、その要素について考えてみましょう。コミュニケーションの要素と言うと何を思い浮かべるでしょうか? 「話す」「聞く(聴く)」、この2つを思い浮かべる方が多いかと思います。しかし、コミュニケーションの要素はこれだけではありません。このほかに「見る(観察する)」と「気づく(読み取る)」という要素があります。

 コミュニケーションには、言語だけでなく非言語で表わされるものもあることは、多くの方がご存じでしょう。表情や視線、身振り手振り、姿勢や距離の置き方などがこれに当たり、この非言語コミュニケーションは「見る(観察する)」ことによって受け取っています
 また、私たちは相手の言葉を額面通りに受け取らなかったり、相手の表情などから心情を読み取ろうとしたりします。これが「気づく(読み取る)」ということであり、コミュニケーションの中ではレベルの高いものとされています。

コミュニケーションを妨げるもの

1.「伝わっているはず」という誤解



 あなたは「伝わったはず」と思っていたことが、実は相手に伝わっていなかった、あるいは誤って理解されていたという経験はありませんか? 「しっかり伝えたはずなのに・・」「説明したから分かったと思っていた」と感じたことがあるのではないでしょうか。

 仕事上でこのような事が起こると、業務に無駄が発生するだけでなく大きなミスにつながりかねません。
 まず、前提として、多くのコミュニケーションにおいて「100%正確に伝わる可能性は低い」と考えて下さい。だからこそ、文書にする、メモを取ってもらったり復唱してもらったりする、後で再度確認する、といった工夫が必要になるのです。業務経験の浅い人に対しては、より必要な工夫となります。「言ったじゃないか!」と腹を立てる前に、そもそも正確には伝わりにくいものという認識を持ち、より正確に伝わりミスを防ぐ工夫をしていきましょう。
 

2.実は誰でも「色メガネ」をかけている

 私たちは、どんなにニュートラルでいようとしても、何かしらのフィルターを通して物事を捉えています。「色メガネで見る」という表現がありますが、まさにその状態。「私は色メガネなんかで見ていない!」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、程度の差こそあれ、私たちは「主観」という色メガネを外すことはできません。
 例えば、仕事で同じミスをした時「やり直しがきくミスだから大丈夫!」と思う人がいる一方、「こんなミスを犯してしまってどうしたらよいのだろう・・・」と悩む人もいます。これは、同じ出来事に対して、それぞれが主観的に物事を捉えているからです。前者は「やり直しがきくこと」と捉え、後者は「重大なミス」と捉えています。

 こういったことは、コミュニケーションでも起こります。人それぞれ、主観的な物事の捉え方には傾向(癖)があり、それが強いほど捉え方が偏ったものになってしまうのです。色メガネで言えばレンズの色が濃くなり、本来の色とはかけ離れた色と認識してしまう状態と言えます。

ここで、代表的な「偏った捉え方」について例を挙げておきます。「そう言えば、こんな風に考えてしまったことがあるなあ・・」ということはありませんか?

  1. 決めつけ
    可能性に過ぎないものを自分勝手に決めつけてしまうこと
    例)「あの人は新人だからできるはずがない。」「きっとあの人は私を嫌っている。」
  2. 誇張
    物事をおおげさに捉えたり表現したりすること
    例)「あの人はしょっちゅう遅刻ばかりしている。」「私の意見はいつも皆に否定される。」
  3. 見落とし
    ある一部分だけ見て全体を判断してしまうこと
    例)「長所もたくさんあるのにそこは見ずに、わずかな欠点だけを見る」「成功したこともあるのに、すべてが失敗であったと思う」
  4. 過度の一般化
    ごくわずかの事実を見て、全てが同様であると決めつけること
    例)「遅刻するような奴は仕事ができない。」「誰もかれも出来ない奴ばかりのチームだ。」
  5. 誤った価値観
    自分の誤った価値観で、論理を組み立ててしまうこと
    例)「ミスをした私などいない方が良い」

コミュニケーションを向上させるには

1.「共感的に聴くこと」で思い込みを軽減できる

 カウンセラーにとって「話を聴くこと」は大切な仕事のひとつです。話を聴く時に、先に説明した「捉え方の偏り」があるとご相談者の気持ちを受け取ることができません。しかし、カウンセラーも普通の人間ですから「色めがね」をかけています。その「色めがね」の影響を受けないようにする訓練をカウンセラーはするのですが、それが「共感的に聴く」ということです。

 ご相談者のお話の中には、とても共感できないことや自分の考え方とは違うことも当然含まれます。それが頭の中に浮かんできたとしても、それはちょっと置いておいて「ご相談者はそのように感じているんだな」「ご相談者の考えはこういうことなんだな」というように捉えるのです。つまり、完全に「共感」はできないけれども、相手の気持ちや考えを尊重し「共感的」に聴くようにすることで、カウンセラーはご相談者に寄り添うことができるのです。
 このように「共感的に話を聴くこと」で、自分の「色メガネ」の影響を最小限に食い止めることができるのです。

2.共感的に聴くコツ~相手の”気持ちや関心ごと”に関心を持つ~

 皆さんはカウンセラーではないので、すぐに共感的に聴くことは難しいかもしれません。そこで、共感的に聴くコツをお伝えしたいと思います。

 それは「相手に関心を持つ」ということです。もう少し正確に言うと「相手の”気持ちや関心ごと”に関心を持つ」ということです。
 例えばチームに新しいメンバーを迎え入れたとします。「まだ仕事になれていないだろうから困っているはず。いろいろと教えてあげよう。」と考え、こと細かく業務を教えてあげる方もいらっしゃるかもしれません。もちろん悪いことではありません。むしろ新しいメンバーを思いやっての行動です。しかし、これは相手の気持ちよりも自分の思い込み(色メガネ)から生まれた考えであり行動ではないでしょうか? 新しいメンバーは、業務そのものよりもチームのルールに関心があるのかもしれません。チームに馴染めるか不安に思っているのかもしれないのです。

 補足すると、カウンセラーは「相手のことは何も知らない。だから教えていただくのだ。」という姿勢でお話を聴きます。今までの経験から決めつけない、頭にはよぎるけど横に置いておく、上から目線ではなく話を聴かせていただく、こんな感じです。
 自分が主体ではなく相手に関心を寄せる、それがコミュニケーションを円滑にし人間関係をより良いものにするコツ。これは、スキルだけでは補えない大切な考え方ではないでしょうか。

 

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井上伸郎

井上伸郎

カウンセリングルーム「こころの案内人」の代表。ご相談者の「わかってほしい・解決したい・変わりたい」にお応えしながら、解決志向型カウンセリングによって多くの方々の「悩みの解決」や「目標達成」のお手伝いをしております。

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