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喜ばしいことでもストレスになり得る!? ~「昇進うつかな?」と思ったら

 早いもので季節は梅雨。新年度がスタートしてから3カ月目に入りましたが、あなたの仕事は順調でしょうか? 新入社員や新しい部署に異動になった方、そして昇進昇格してあらたにリーダーになった方などは、新しい業務や役割にも慣れて戦力となっていることと思います。
 一方で「どうも調子が悪い・・・」という方がいらっしゃるかもしれませんね。昇進昇格してやる気を持って仕事に臨んだのにもかかわらず「何かうまくいかない・・・」「最初のやる気がなくなってきた・・・」「自信を失い気分が落ち込んでいる・・・」そんな方々は、もしかすると「昇進うつ」の前兆かもしれません。今回は「昇進うつ」の対策について考えていきます。

【目次】

◆昇進うつとは
1.「喜ばしい出来事」もストレスになる
2.「昇進うつ」の症状 

◆「昇進うつかな?」と思ったら
1.
昇進前「やった!頑張ろう!」と思った人は
2.昇進前「自分には務まるだろうか」と不安だった人は

◆部下が「昇進うつ」にならないように
1.早期発見が重要
2.早期発見は「いつもと違う部下」に気づくことから


昇進うつとは?

1.「喜ばしい出来事」もストレスになる

 ストレスの原因というと、嫌な出来事やつらい環境を思い浮かべるかと思いますが、本来であれば喜ばしいことや嬉しいこと、あるいは幸せなことでも、場合によってはストレスになってしまうことがあります。
 例えば、”マリッジブルー”。幸せでいっぱいの結婚生活のはずなのに、なぜか不安になったり憂鬱になったりすることをそう呼んでいます。これは、結婚そのものがストレスになっているというわけではありません。結婚による生活環境の変化や家庭を持つという責任感によって不安が大きくなり、その不安が強くなって憂鬱な気分になっていくというものです。
 このように、自分が望んでいたこと、あるいは喜ばしいことでも、その出来事をきっかけとしてストレスが起こることがあるのです。

2.「昇進うつ」の症状


 仕事における「昇進」も結婚同様に本来は喜ばしい出来事ですが、そのことがきっかけで不安や憂鬱な気分を引き起こすことがあります。それを「昇進うつ(あるいは昇進うつ病)」と呼ぶことがありますが、正式な病名(医学用語)ではありません。
 
 症状ですが、抑うつ状態やうつ病と同じで「感情」「思考」「意欲」「身体」にかかわる症状が見られます。次のような症状です(※症状には個人差があります)。

  • 憂鬱な気分が続く
  • 強い不安が続く
  • 自己否定感や罪悪感が強くなる
  • 集中力や思考力が低下する
  • 不眠または過眠
  • 食欲不振
  • 肩こりや頭痛が長引く

 症状が現れたからと言って必ずうつ病とは限りませんが、やはり注意が必要です。悪化しないようにセルフケアを行い、それでも改善しない場合は専門医を受診することをお勧めします。

「昇進うつかな?」と思ったら

 あなたは、昇進が決まった時どのような気持ちでしたか?「やった!これから頑張ろう!」というようにやる気が増しましたか? それとも「自分に務まるだろうか?」と不安を持ちましたか?それぞれの気持ちの違いから「昇進うつかな?」と思った時のセルフケア(対処法)を考えていきます。

1.昇進前「やった!頑張ろう!」と楽しみに思った人は


 昇進前に「やった!頑張ろう!」と思ったあなた。昇進を前向きにとらえ、それによってモチベーションが増したのではないでしょうか。一方、今はいかがですか? 「昇進うつかも」と思っていらっしゃるということは、昇進時の嬉しさや前向きな気持ちが薄れつつあるのだと思います。 
 このような方には「自ら変化を起こしすぎないこと」と「他人を頼る」ということをお伝えしたいと思います。

 昇進時に少々張り切ってしまう人は、そのやる気と真面目さゆえにスタートダッシュで色々な事に手をつけてしまう傾向があります。しかし、思うほどうまくいかなかった場合、そのことに対する戸惑いや不安、焦りなどがストレスになってはいないでしょうか。仕事の内容そのものだけでなく、人間関係で躓くとストレスは大きくなります。
 そのような時には「他人を頼る」ということを試してみてはいかがでしょうか。他人を頼るというと真っ先に思い浮かべるのが「上司」。一人で抱え込まずに状況を伝えて助言や支援をもらうことです。また、実は「部下」も頼って良い人の一人です。「まだ任せられない」と思い、業務を一人で抱え込んではいないでしょうか。積極的に部下に仕事を任せることで、いま一つうまくいかなかった人間関係も円滑に行く可能性があります。(もちろん、任せるだけでなくフォローも必要です。)その他、信頼できる同僚に相談するのも一つの方法です。

 一人で何とかしようとする人は、自分の力不足と捉えてしまい、さらなる努力や勉強を行おうと試みる傾向があります。例えば、リーダーシップに関する書籍を読みあさったりビジネスセミナー参加したりということです。もちろん、勉強や自己研鑽は大切なことです。ただ「昇進うつ」を疑うような状況では、新しいことに手を出すことは控える方が賢明です。これが「自ら変化を起こしすぎない」ということです。新しい試みがもし失敗に終わった時、さらにダメージを受け自分を責めることにもなりかねません。「変化」は心身ともに調子が良い時であれば問題ないのですが、ストレスを感じ心身が弱っている時には要注意であると言えます。
 

2.昇進前「自分に務まるだろうか」と不安だった人は

 昇進前に不安だった人ほど「昇進うつ」になりやすいかというと、必ずしもそのようではないようです。と言うのは、不安ゆえに慎重に対応する姿勢が強いためです。例えば、自分に務まる業務なのか業務内容について調べたり、どのような部下や上司なのかメンバーの様子や人間関係などを調べたりといった情報収集を行うことです。その上で業務に当たるので、スタートダッシュをかけてしまう「昇進前楽しみだった人」に比べ、壁にぶち当たりにくいとも言えます。

 一方で、不安や心配が過度なのもよろしくはありません過度な不安や心配は周囲の目を気にすることにつながったり、何でも自分と結び付けて考えることで自分を責めてしまったりということにつながるからです。このような方は「自分の不安はどこからくるものなのか」「それは根拠のあるものなのか」、視野を広げて冷静に考えることを試してみてください。また、やはり一人で抱え込むのは禁物です。上司、信頼できる同僚に相談し、自分とは違った視点からのアドバイスを受けてみることをお勧めします。

部下が「昇進うつ」にならないように

1.早期発見が重要

 自分が昇進した場合だけでなく、部下が昇進した際にも注意が必要です。身体の病気と同じく、メンタルの病気についても早期発見と対応が重要です。もちろん、病気に至らないようその前の段階で発見しケアをするというのが基本。部下から訴えてくるのを待っていたり、部下が休むようになって初めて気がつくというのでは遅いということです。
 部下の健康に気を配ることは、リーダー(管理者)の重要な役割であると認識していただきたいと思います。

2.早期発見は「いつもと違うこと」に気づくことから

 早期発見のポイントは「いつもと違う部下に気づく」ことです。これは、昇進した部下だけに限らないことで、リーダー(管理者)であれば常に気を配りたいポイントです。

 「いつもと違う」とは、例えば次のようなことです。

  • 元気がなくなった、口数が少なくなった
  • 報告・連絡がなくなってきた
  • 遅刻や欠勤が増えてきた
  • 仕事の効率が悪くなったり、ミスをするようになった
  • 同僚や部下とのトラブルが増えてきた
  • 痩せてきた(太ってきた)
  • 身なり構わなくなってきた

 これらは一例であり、人によって現れ方はさまざまです。ですから、何か「違和感を覚える様子や出来事」があったら、それを見逃したり、そのまま流してしまったりしないようにしていきましょう。
 遅刻欠勤や仕事のミスが続く場合、管理者としては注意や叱責をしたいところ。しかし、一方的に注意をするのではなく、部下の様子にも気を配ってください。「何か違う」と感じたら、注意をする際や注意をした後にフォローが必要です。
 また、部下の変化に気づいたら、まずは本人に話を聴くようにします。その際は、他の社員には聞かれず秘密が守れるような場所で話を聴くようにしましょう。率直に「心配している」ということを伝え「何か手伝えることはないか」という姿勢で話を聴くことがポイントです。

 業績向上、業務効率の向上がリーダー(管理者)の重要な役割ですが、そのためにはメンバー(部下)が健康でなければなりません。あまり立ち入ると嫌がられることもあるため難しいところではありますが、部下の健康管理に対しての配慮を忘れないようにしていただきたいです。もちろん、ご自身の健康が前提であることは言うまでもありません。 

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井上伸郎

井上伸郎

カウンセリングルーム「こころの案内人」の代表。ご相談者の「わかってほしい・解決したい・変わりたい」にお応えしながら、解決志向型カウンセリングによって多くの方々の「悩みの解決」や「目標達成」のお手伝いをしております。

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