こころの案内人のブログ

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「自分は必要のない人材か」その不安に立ち向かうには

「自分は会社にとって必要のない人材なのではないか・・」と不安に感じたことはありますか。不本意な異動、降格、所属部署の消滅・・・「長年会社に貢献してきたはずなのに、なぜ自分がこのような目にあうのだろうか」とショックを受けるような経験をされている方も少なくないのではないでしょうか。変化の激しい現代社会において、絶対に安全なキャリアというものは存在しません。自分の職業生活に大きな転機が訪れたときの気持ちの持ちようについて考えていきます。

 

「自分は必要ない」その不安はどのように起こるか


会社の中核を担う40代。職業人として脂がのっている年代においても「自分は必要のない人材ないのではないか」という気持ちに陥る可能性があります。それは、今まで積み上げてきたキャリアが崩壊したときです。どのような場合にそのような状況になるのでしょうか。

 

1.環境の大きな変化

 

「キャリアショック」という言葉をご存知でしょうか。慶応大学大学院特任教授の高橋俊介氏が提唱した概念です。キャリアショックとは、自らが積み上げてきたキャリアや描いてきたキャリアの将来像が、予期しない環境や状況の変化により、短期間のうちに崩壊することをいいます。
例えば、会社の倒産やリストラもキャリアショックのひとつです。これらは、今までの環境で仕事を続けることができなくなること、すなわち職を失うことにより起こります。

会社に留まり職を確保できてもキャリアショックは起こり得ます。
不本意な人事異動、降格、会社の方針転換、所属部署の消滅、M&Aによるマネジメントの転換などによるものです。経験が生かされての異動とはにわかに理解しがたいような、畑違いの部署への人事異動の場合、すぐには前向きにとらえることができないでしょう。また、異動先の人員とのバランスで降格になる例もあります。変化の激しい時代においては会社の方針転換やM&Aはよくあることで、それに伴い求められる職種や人材も変化していきます。また、今まで専門部門が担当していた業務が、ICTの発達により専門部門が必要ではなくなるケースも見られます。今まで積み上げてきたキャリアが通用しなくなることにより、「自分の存在価値が低下していく」「今まで自分が頑張ってきたことが否定された」という考えが湧いてきても無理はないことでしょう。

 

2.役職定年

役職定年とは、役職者が一定年齢に達したら管理職ポストをはずれ、専門職などに異動する制度をいいます。現在、我が国のおよそ半数の企業が導入しています。組織の新陳代謝を図り若手を育成するのが目的ですが、対象となる方は肩書きや権限がなくなり、さらに給与が下がります。当然、年下の上司の下で働くことになり、役割もマネージャーからプレーヤーに変化します。複雑な思いになるのは当然のことでしょう。

役職定年の年齢は55歳前後です。その時が必ず来るとわかっていながらも、その年齢からの転職を考える人は少ないと思われます。そうなると、会社の指示を受け入れなければなりません。自分一人だけが役職定年になるわけではないと頭では理解していながらも、なかなか気持ちの切り替えができないところに苦しみがあるようです。

 

「存在価値がない」その気持ちをどう克服するか

 

存在価値がないという気持ちに陥ったとき、どのようにして気持ちを立て直せばよいのでしょうか。

1.難しいことだが、現実を受け入れることから

まず大切なことは、現実を受け入れるということです。これは、その時の感情に押し流されてしまったり、感情のままに行動することを防ぐためです。さらに、現実を受け入れることができないと、次のステップに進むことができません。とは言うものの、これはなかなか難しいことです。頭で理解して気持ちを切り替えようとしても、心の奥に不満や怒り、悲しみなどが溜まっているとそれらが行動を邪魔するからです。そこで、いきなり自分の気持ちを切り替えようとするのではなく、次のように手順を追っていきましょう。

 

2.気持ちを吐き出す、求められていることを確認する

さまざまなマイナスの感情が渦巻いているうちは、気持ちの整理ができず理性的になれません。当然、適切な判断ができにくくなります。そこで、マイナスの感情を鎮めるために、まずはその感情を吐き出してください。不本意な異動や降格などを受け入れることができないと、その反動としてついつい表面上は強がってしまうもの。しかし、強がれば強がるほど苦しみが増していきます。
同僚でも家族でもよいので、自分の気持ちを受け止めてくれる人に今の苦しい気持ちを表現してみましょう。ただし、そこで説教や説得されてしまっては逆効果です。話す相手を見極めるとともに、「今日は自分の気持ちを聞いてほしい」ということを事前に伝えておくようにしましょう。また、話し終えた後に自分の気持ちがどのように変化しているか確認しておくと、気持ちの整理がつきやすくなります。

自分の積み上げてきたキャリアが崩れる理由は主に環境の変化によるものです。そのような変化に対応できるような準備が必要であったと言われればその通りなのですが、当事者にとっては気持ちを切り替えながら次に進んでいかなければなりません。倒産やM&Aの場合は致し方ありませんが、会社に留まる場合、会社側は自分に何を求めているのか上司や人事に確認しておくことも気持ちの切り替えに役立ちます。ただ、ここで注意したいことは、理由を問い詰めるようなことは避けるということです。自分にとってネガティブな情報が回答となることも考えられ、気持ちの切り替えにはむしろマイナスになります。会社側も良い印象は持たない恐れがあります。あくまで「今後自分は何をすべきなのか指針を与えてもらう」という姿勢で臨みましょう。その姿勢が自分を成長させ、この試練を乗り越える力を芽生えさせることにもつながるはずです。

 

3.気持ちを切り替えたら適応する努力を

気持ちを切り替えることができたと思っても、新しい環境や仕事にすぐには馴染めないことも考えられます。しかし、ここを乗り越えやりがいを持って働いてこそ、さらに成熟し充実した職業人生を送ることができるのです。
馴染めずに苦しく感じる場合は、この苦しみは自分にとって何のためのものなのか考えてみましょう。考えた結果、この先の展望が期待できるものであれば苦しみに耐える価値はあります、例えば、これを乗り越えたら自分の力を生かしいきいきと働くことができる、新たなスキルを身につけることができる、自分の希望するステップに進むことができる、などです。このことに気づくことで、新しい環境に適応しようとする力が湧いてくるのす。しかし、無理は禁物です。気持ちのバランスを保つために、時には自分の気持ちを吐き出す機会を持つようにしてください。自分の気持ちに流されたり反対に無視して抑え込んだりするのではなく、自分の気持ちを見つめていくことが自己調整を図るコツといえます。

 

まとめ

 

変化の激しい時代において、キャリアショックは誰にでも起こる可能性があります。前提として、それに備えて自分のキャリアは自分で切り拓く意識を持っておくことが大切です。しかし、キャリアショックに直面した場合は、落ち込んだ気持ちを調整し気持ちを切り替えて新しい環境に馴染んでいかなければなりません。まだまだ続く職業人生をいきいきと歩むために必要なことだからです。
難しいことではありますが、自分の気持ちを大切にしながら前向きになるよう自己調整をしていきましょう。自分一人では難しいという場合は、ぜひご相談ください。必ずやお力になれると思います。

 

 

 

井上伸郎

井上伸郎

カウンセリングルーム「こころの案内人」代表。 民間教育企業に20年以上勤務し、教室責任者、エリアマネージャー、教務コンテンツ開発、社員研修、内部監査等を担当。うつ病・適応障害の克服やキャリアショックの体験から、働く方々の支援の必要性を痛感しカウンセラーを目指す。2015年にこころの案内人を開業。

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