こころの案内人のブログ

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私がゲイであることを公表してカウンセラー活動をする理由

 

こんにちは。ゲイのビジネスパーソン・カウンセラーの井上です。ブログにお越しいただき有難うございます。私は、ゲイであることを公表してカウンセリング活動を行っていますが、「なぜカウンセラーになったのか」「なぜゲイと公表しているのか」、また「なぜゲイの方を対象としているのか」ということについて書かせていただきたいと思います。

精神科受診の経験から

初めは、精神科医とカウンセラーを混同していた

 
 私は、うつ病により精神科を受診した経験があります。抑うつ状態が少し落ち着き、やっとの思いで受診。医師は、私の今の気分や今までの経緯などを細かく聞いてくれました。つらい状況や気持ちを口に出した私は、それだけで気持ちが軽くなったことを覚えています。思い切って受診して良かったと思いました。

 これが、インテーク面接という「患者からの情報収集のための初回面接」であることを当時の私は知らず、毎回話を聞いてもらえるものだ勘違いしていたのです。2回目の受診からはガクンと診療時間が短くなりました。薬による治療も必要とは思うものの、「もっと話を聞いてほしい」という気持ちが強く、それは不満に変わっていきました。でも、話を聞いてほしいとは言えなかったんですよね。言ってはいけない雰囲気を感じてしまって。

 当時の私は、医師とカウンセラーの違いを理解していなかったのです。(そういうことに考えを巡らす状況でもありませんでした。)話を聞いてもらいたいと伝えたら、もしかしたらカウンセラーを紹介してくれたかもしれません。しかし、言いだすことはできず、その後も「1分診療」は続きました。同じように、話を聞いてもらいたいという気持ちが満たされないまま、精神科やメンタルクリニックに通い続けている人も多いかもしれませんね。

 振り返ると、このことが、カウンセリングというものを意識した最初の体験でした。

話を聞いてくれる医師に出会えたものの・・・

 いったんは回復したものの、私はうつを再発してしまいます。再発後は、前回とは違うクリニックを受診しました。すると、新しい医師は毎回話を聞いてくれたのです。カウンセリングほどの時間ではありませんでしたが、私が納得するだけ話を聞いてくれました。変な話ですが、私にとって通院することが楽しみになったのです。

 そのうちに私の中にある気持ちが芽生えました。それは「先生にカミングアウトしたい」ということです。ゲイということが、私がうつになった原因かどうかはわかりません。少なくとも直接的な原因ではなかったと思います。しかし、ゲイであることが私の人生に与えた影響は大きいものがあります。そのことに触れないのは、自分の根っ子にあるものを伝えられない気がしたのです。加えて、ずっとゲイであることを隠して生きてきたので、たとえ一瞬でも、その抑圧から解放されたいという気持ちもあったと思います。

 最初は、カミングアウトすることに不安を感じました。理解されなかったら後悔すると思ったからです。その医師とは良い関係を築いていたので、それを壊したくないという気持ちもありました。結局、私はカミングアウトすることになります。そして、医師は受け容れてくれました。その後の医師との対話は、より深みを増し、うつの回復に良い影響を与えました。

 うつの再発からカミングアウトまでのこれらの出来事は、私がカウンセラーを目指す大きなきっかけになりました。苦しんでいる人を支援したい気持ち、周囲の理解を得られずつらい思いをしている人を支援したいという気持ちが私の中で大きくなり、カウンセリングを学ぶことになったのです。
 

カウンセリング活動を行うに当たって考えたこと

内面を開示することが、カウンセリング効果を高める

 私は、ゲイの方が悩みを相談する時には、それがこころの問題ではない(可能性がある)場合でも、あるいは、その悩みが直接ゲイに関係がないことでも、ゲイであることも伝えた方がより解決しやすくなると考えています。それは、自分の経験もありますが、自分の内面を開示することがカウンセリングにポジティブな影響を及ぼすという研究結果もあるからです。
 
 とは言うものの、そう簡単にカミングアウトをすることはできません。しかし、相手がカウンセラーで、なおかつ同じゲイだったらどうでしょうか。もちろん信頼に足る人物であることが前提ではありますが、だいぶハードルが低くなるのではないでしょうか。私は、そのハードルをさらに下げるために、名前と顔を公表しています。ご相談者が気兼ねなく、自分がゲイであることも含めて相談できるためには、私自身の素性を明らかにした方が良いのではないかと考えたのです。
 
 これが、私がゲイであることを公表してカウンセリング活動をしている理由です。カウンセリングでは、ご相談者の内面の開示とカウンセラーとの信頼関係が、解決に向けた大きな力となっていくのです。

今まさに社会で生きている人を支援したい

 メディアでは、いわゆる”オネエタレント”の方々が活躍しています。そのことをきっかけにして、セクシュアルマイノリティに対する関心や理解が進んでいる側面があります。一方で、オネエタレントの方々のようにセクシュアリティをオープンにできない、いわゆる”普通の”ゲイの人たちが大勢います。(普通と言う言葉はあまり使いたくないのですが、一般的という意味で””付きで使っています。)

 私は、このブログやサイトでオープンにしてはいますが、その”普通の”ゲイのひとりです。長年、会社組織に属してクローズで過ごしてきました。さまざまな嫌な思いも経験しましたが、この社会で何とか生きてきました。私は、そのような方々を支援したいのです。

 社会がセクシュアルマイノリティに対する理解を深めない限り、当事者にとって生きやすい社会は訪れません。その実現のために活動なさっている方々や団体があります。一方で、まさに今ここで生きている当事者がいます。オープンにはできない事情の方、オープンにはしないという考えをお持ちの方、まだ自分のセクシュアリティを受け入れることができない方、異性愛者中心の社会の中で懸命に生きている当事者の方、このような方々を支援することが、今の自分にできることではないかと考えています。

 生きていくことは難しいことです。当事者にとっては、さらに難しいことかもしれません。でも、私たちは生き抜いていかなければなりません。その支援をさせていただきたいのです。これが、私がゲイの方々のカウンセリングを行っている理由です。何か悩みや問題を抱えている方がいらっしゃいましたら、ぜひ私にお声掛けください。お力になれると思います。

井上伸郎

井上伸郎

カウンセリングルーム「こころの案内人」の代表。セクシュアリティに関わらず様々な方々の「悩みの解決」や「目標の達成」を、解決志向型カウンセリングによってお手伝いしています。

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