新型コロナウィルスによる不安とストレスの対処法

現時点において、新型コロナウィルスの感染拡大は終息する気配を見せていません。日本においては何とか”持ちこたえている”ものの世界的には拡大が続いており、東京オリンピック・パラリンピックの延期説も聞かれるようになりました。そのような中、私たちもさまざまな不安やストレスを抱えています。感染に対する不安のほか、経済や社会に対する不安や明確には表現できない漠然とした不安、自粛ムードによるストレスなどいろいろです。今回は、そのような不安やストレスをどのように対処すれば良いかを考えます。

【目次】
1.未知なものに不安を抱くのは当然のこと

2.情報に振り回されないために
 2-1.「合理的な判断」のその先を考える
 2-2.思い切って一部の情報を遮断してみる
3.極力、普段どおりの日常を維持する
4.「ストレスの発散」と「安心なイメージ」

1.未知なものに不安を抱くのは当然のこと

 世界保健機関(WHO)は3月2日に、新型コロナウイルスの世界的流行は「未知の領域」に突入したと発表しました。そして、現時点においても未だ「未知の領域」から脱することができていません。私たちも、日々の暮らしの中で今まで体験した事のない事態に遭遇しています。一斉休校、イベントの自粛、テーマパーク等の休園、在宅勤務などです。
 人は、未知なものに対して不安を抱きます。場合によっては「不安」を通り越して「恐怖」すら感じることもあります。本来、これは生物が生き抜くための本能と言えます。新型コロナウィルスは世界的に感染が拡大しており、有効な手段が見つかっているとは言えません。ですから、不安を感じること自体は当然のことなのです。ただ、不安に飲み込まれてしまっては自分が苦しむだけでなく、正しい判断ができにくくなります。「不安を感じている自分」に気づき、それは当然のことなのだと捉えることからスタートしてみて下さい。

2.情報に振り回されないために


2-1.「合理的な判断」のもうひとつ先を考える

 トイレットペーパーやティッシュペーパーが無くなるというデマが広がり、スーパーやドラッグストアに買い物客が押し寄せたということは記憶に新しいところです。「大人げない」とか「冷静に考える事ができないのか」といった批判も聞かれました。しかしながら、買い物に走った人たちの行動には批判できない部分もあるのです。というのは、「紙類が不足するかもしれない」という情報を得た場合、「今後のことを考えて少し買っておこう」と考えること自体は「合理的な判断」の範疇と言えるからです。(特に今回はお店の棚が空になって行く様子が映像として映し出されました。)

 問題は、この判断が本当に合理的なものかどうか確認をせず行動に走ったたことです。何を確認するべきかというと「家に在庫はどれくらいあるのか」「その在庫でどれくらい持つのか」といったことです。これが「もうひとつ先」を考えるということで、合理的な判断を重ねていくということです。こういったことを考えなかった人は、不安の感情に飲み込まれて思わず財布を掴んでしまったのかもしれません。一方で、家に在庫が無ければ買い求めに店舗に足を運ぶことも合理的な判断と言えます。しかし、ここでも「もうひとつ先」として「どれくらい購入すれば良いのか」を考える必要があります。そうすれば、適切な数量の購入で留めようとするはずですし、もし買えなかったとしてもさほど不安に思う必要はないことに気づくはずです。

 もちろん、「相手を思いやる気持ち」によって冷静な行動ができるのならそれでも良いのですが、人は危機に直面するとどうしても自分優先になりがち。「相手を優先し自分を後回しにするということではなく、そもそも自分の行動は合理的なのか」という視点を持ってみるのも有効な方法です。ちなみに「デマに惑わされるなんてバカだ」と思い買い物に走らなかった人は、そう結論付けた過程を振り返ってみてください。その結論は、合理的な判断をした結果であったでしょうか。この振り返りが、今後の行動の改善に繋がるはずです。

2-2.思い切って一部の情報以外は遮断してみる

 不安になると情報を求めるのは当然のこと。迅速に正確な情報を得ることは適切な行動に繋がり、危機を回避する可能性が高まります。しかしながら、今回の新型コロナウィルスの関連情報については、不確実なものや専門家によって意見が分かれているものが多く発信されています。「未知なもの」なのですから仕方が無い面もありますが、そういった情報には注意が必要です。さっき聞いた情報と違った情報が耳に入ってくると、どちらが正しいのか知りたくてさらに情報を求めようとしてしまいがちです。それを繰り返していては不安は増し、エネルギーと時間を使ってしまい「疲れてしまう」のです。

 テレビからもインターネットからも四六時中情報が発信されています。その中から、専門家によって意見が分かれているもの、要するに不確かなものは思い切って見ないようにしてみてください。具体的には、テレビなどで専門家やコメンテーターが議論している情報(映像)や個人のツイッターなどから発信されている情報です。その中にも有益なものが無いとは言えませんが、情報に振り回されることに不安を感じるのであれば、ニュースや公的機関が発表している情報だけに絞ってみるのも有効な方法です。

3.極力、普段どおりの日常を維持する

 
 新型コロナウィルスの拡大自体が、非日常の出来事と言えなくはありません。休校や自粛もそうです。一方で、私たちは今まで通りに食事をし睡眠を取り、可能な範囲で仕事をし趣味を楽しんでいます。(もちろん、新型コロナウィルスの影響で仕事や家計に多大な影響を受けている方がいることは承知しています。この記事では、主に「不安」に焦点を当てていることをご了承ください。)不自由な部分があるのは確かですが、すべてのことが閉ざされているという考えは持たないようにしたいところです。できないことのみに目を向けるのではなく、できることにも目を向けその状況をしっかり感じとってみましょう。
 
 また、生活のリズムを整えることも重要です。特に学生の皆さんは突然の休校に、どのように過ごしたらよいか分からない人も多いでしょう。在宅勤務になった方の中には初めての経験で戸惑っている方がいるかもしれません。そのような中で、油断すると崩れてしまいがちなのが生活習慣です。リズムが崩れることで気力が減退したり、そのような生活を送る自分に罪悪感が生まれたりすることもあります。しっかりと睡眠と食事を取り、通勤通学していた時のリズムを極力崩さないことを心がけ、事態終息後の生活を迎える態勢を整えて下さい。

4.「ストレスの発散」と「安心なイメージ」

   「こころの案内人」のブログでは、過去に「ストレス対処」についての記事を掲載しています。ストレスや不安の解消に万能薬はありませんが、それだけに普段から”自分に合った”対処法を持っておくことが大切になります。それは、ひとつではなく複数持つことをお勧めしています。過去の記事で、溜まったストレスを解消するために改めて行動を起こす「ストレス発散」と、ストレスを感じた時点で少しでもそれを軽減させる「安心なイメージ」についてご紹介しました。ぜひ、そちらを参考にしていただければと思います。
【過去の記事】ここに戻れば安心!~上手なストレスの対処法~

 また、どうしても不安という場合は、その気持ちを誰かに話してみるという事も有効です。ご家族がいらっしゃる方であれば、どなたかに聞いてもらいましょう。ただ、相手もあなたと同じように不安を抱えていることも考えられます。そうすると、お互いに不安を増幅させてしまいますので注意しましょう。一方的に気持ちをぶつけるのではなく、お互いの気持ちを受けとめ合いながら不安を軽減する方向で話を進めると良いでしょう。また、話を聞く側も「不安なのは皆同じだ。」「心配し過ぎだよ。」などと一蹴せずに、しっかりと聞いてあげて下さい。
 勤務先やお住まいの自治体には、無料の相談窓口がありますのでインターネットで検索してみてください。(コロナウィルスに関する相談窓口ではなく、こころの悩みを聞いてくれる窓口です。)必要であれば、そのような相談窓口も上手に利用しましょう。もちろん「こころの案内人」でもご相談をお受けしておりますので、どうぞご利用ください。

 コロナウィルスの問題が収束するには、まだ時間がかかりそうです。一人ひとり何ができるのかを考えながら行動し、この難局を乗り越えていきましょう。

 

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