わかってほしい!~表現することの効果~

 あなたには愚痴をこぼせる相手がいますか?
こころの案内人では「わかってほしい、解決したい、変わりたいに応えます」を方針としていますが、今回は「わかってほしい(聞いてほしい)」について考えていきます。
 「愚痴をこぼす」ことは、まさに「わかってほしい、聞いてほしい」という気持ちからの行動。この何でもないような行動が、実は私たちのストレスを軽減させる有効な手段なのです。ともすれば、あまり良い意味に使われない「愚痴」が、どのような効果をもたらしてくれるのでしょうか?

【目次】
◆愚痴もスキルのひとつ
◆気持ちを表現する効果
1.気持ちの発散(カタルシス効果)

2. 気づきを得ること
◆日常的に使えるスキル
◆かかりつけ医の感覚で

愚痴もスキルのひとつ

「あいつは口を開けば愚痴ばかり」など、あまり良い行動とは見なされない愚痴。確かに、相手の状況に配慮せず一方的に話をするなど、マナー違反と言えるような行動は、あなたご自身にとってもプラスにはならないでしょう。しかし、適切に行えば、愚痴はストレス対処に重要なスキルとなるのです。

 「愚痴をこぼす」ではなく「自分の気持ちを言葉として表現する」と言い換えてみると、かなり印象が変わりますよね。この「言葉にする」ことがストレス対処にさまざまな効果を生むのです。では、その効果について見ていきましょう。
 

気持ちを表現する効果

1.気持ちの発散(カタルシス効果)

 愚痴ればスッキリしますよね。これが1番目の効果です。当たり前のことに思えますが、これはカタルシス効果と言って重要な効果の一つです。
 カタルシスとは、(特に対処困難な)自分の欲求や気持ち、葛藤を言葉として表現し発散することです。人は、苦痛を発散したり解消したりできないと、さまざまな心理的・身体的な現象が現れると言われています。それらを防ぐためにも、我慢して自分の気持ちを溜めこまず、時には吐き出すことは大変重要なことなのです。愚痴をこぼすこともその一つと言えます。
 カタルシス効果は、言語だけでなく非言語でも得ることができますし、表現方法は会話以外でも構いません。愚痴をこぼす相手がいない時などは、自分の気持ちを文章にする、絵に描いてみるなどの方法も効果があります。きれいに書く必要はないので、メモに殴り書きして気持ちが落ち着いたらそれを捨てるやり方もお勧めします。

2.気づきを得ること

 愚痴をこぼし始めた直後には、今まで抑えていた自分の気持ちが溢れだすので、何か気づきを得る余裕はないと思います。それこそ、とにかく「わかってほしい、聞いてほしい」一色になっているのかもしれません。
 ところが、ある程度自分の気持ちを吐き出すと、いろいろと思いを巡らし始め、新たな気づきや今後に向けた改善策が浮かんでくるのです。あなたも、愚痴りながらこんな言葉を漏らしたことはありませんか?
「説明不足だった俺も悪いんだけどな・・・」
「私もちょっと言い過ぎたかも知れないけど・・・」
「これからは自分の行動も変えなきゃいけないかも・・・」
 
 これらは、元々あなたの中にあった考えの可能性もありますが、自分の気持ちを吐き出す(表現する)中で得た新たな気づきかもしれません。自分が発する言葉は自分でも聞いています。その中で「うん、ちょっと待てよ?」とか「考えてみれば・・・」といった気づきが表面化してくるのです。
 これらは、気持ちを吐き出さなければ得られなかったかもしれません。大変大きな効果と言えるのではないでしょうか。

日常的に使えるスキル

 カタルシス効果や気づきを得ることは、実はカウンセリングの効果でもあります。カウンセラーと愚痴の相手が異なるのは、カウンセラーの場合は決して話を遮ったり否定したりしないということです。「それは違うと思うな」などと自分の意見を述べることもありません。また、カタルシスや気づきを得やすくなるような聴き方や質問をする技術を持っています。

 愚痴をこぼす場合は、こぼす相手を間違えるとかえって嫌な気分になることもあるので注意が必要です。一方で、適切な相手を選ぶことと、相手が聞ける状況にあるかどうか見極めるなどの配慮を忘れなければ、愚痴をこぼすことは日常的に使える「ストレス対処のスキル」と言えるでしょう。先ほど述べたように、「紙に書きだす」「絵にしてみる」といったことも、もちろんそのスキルに含まれますので、愚痴をこぼすだけでなく「気持ちを何かしらの形で表現する」ことがスキルと捉え、ぜひ活用してみて下さい。

かかりつけ医の感覚で

 日常的に使えるストレス対処は、こころのセルフケアと言えるでしょう。体調管理に気を配るのと同じように、こころの体調管理も大切にしたいところ。
 そこでご提案したいのが、かかりつけ医に診てもらう感覚でカウンセリングを受けるということです。ちょっと風邪気味だなと思えば、かかりつけや職場の近くの病院に足を運ぶことがあるでしょう。それと同じように「こころが疲れている」と感じたら、カウンセラーに話を聴いてもらってはいかがでしょうか?
 まだまだハードルが高いカウンセリングですが、あなたの「こころのかかりつけ医」として身近に存在していることを、頭の片隅に置いていただけたら大変うれしいです。私も、そのような存在になれるよう頑張って参ります。

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